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IT技術

日本でアジャイル開発は無理(文化編)

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「アジャイル開発に取り組もう!」
経営層が言いそうなことです。
しかし、日本ではアジャイル開発に希望を感じている人は少ないのではないでしょうか。
なかなか普及が進まない。
うまくいく気がしない。
海外では当たり前のように行われていますが、なぜ日本ではだめなのでしょう。
実際にアジャイル開発に取り組み、日本では難しい理由が見えてきました。

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結論

今の日本のシステム開発では、ほぼうまくいきません。
あきらめましょう。

<理由>
・システム開発を外注する文化
・日本は終身雇用
・成果が見えないことに投資できない
・実質の開発責任者(プロダクトオーナー)に権限がない

アジャイル開発とは

まずは、アジャイル開発について簡単に説明します。

1~4週間程度のサイクルで計画、要件定義、設計、開発、テスト、リリースを繰り繰り返すスタイルです。
もう一つの特徴はシステムの完成形を試行錯誤しながら作っていきます。
プロジェクト開始時にはシステムの最終完成形が見えていないことです。
1つのサイクルの中で小さなシステムを作ってリリースします。
そのシステムを実際に利用し、実際に需要・効果があるか検証し次の開発計画に取り込んでいきます。

システムの完成形も見えていませんし、いつ完成形にたどり着くのかも当初は見えていません。

日本でアジャイル開発が無理な理由

日本ではほぼアジャイル開発は無理と考えています。
それは、日本でのシステム開発はこれから説明するスタイルになっているためです。
逆に言えば、このスタイルに当てはまらない場合、アジャイル開発が成功する確率は高くなります。

理由:システム開発を外注する文化

日本のシステム開発は多くの場合、システム開発ベンダーに外注します。

このスタイルには多くの問題があります。
一番大きな問題は、完成物を買うという考え方に基づいています。
予算〇千万円で〇月〇日までに完成したシステムを納品するという契約を結びます。
発注する側はシステム開発ベンダーに対して完成したシステムの納品を要求します。
これは当たり前のことですけど、アジャイルの特徴を思い出しましょう。

完成形はプロジェクト進めながら決めていきます。
完成形が見えていないので開発期間も予算もあいまいになります。
このような不確かな内容で他人に仕事を丸投げすることなんてできませんね。
普通は「予算を使い切って完成しませんでした。」というおちです。

仕事を受ける側にしても、「完成物と納期を指定するならきっちり要件を出してもらわないと確約できません」って言いますようね。

外注するという考え方に無理があるのです。

理由:日本は終身雇用

アジャイル開発に成功している海外では、システムは社内作成です。
システム開発が必要になれば技術者を集めてきてシステム開発を自社で行います。

一方、日本の会社は終身雇用です。
それは、システム開発が必要だからと言って技術者を集めてくるなんてことはできません。
この人たちの終身面倒見なくてはいけなくなりますからね。

お金を払って、雇用関係を結ばない外部の人にやってもらうしかないのです。
そうなると「システム開発を外注する文化」で述べた問題が起きます。

理由:成果が見えないことに投資できない

日本の会社では成果が見えないことに予算を付ける文化が乏しいです。
何か新しい企画を経営会議に持ち込んだとします。
その効果を異常なまでに綿密に示さなければなりません。
確実に成果が出ることを証明しなければ決済が下りないのです。

この考え自体がアジャイルに対立しています。
アジャイルでは効果が不確かなことに小さくトライして、軌道修正したり、だめだと判断ししたらすぐに中止するという考え方です。

日本では新しいビジネスが生まれにくいのも同じ理由です。
ちょっと試してみたら大ヒットするかもしれない様なことは承認されません。
「それは、儲かるのか」「それは成功するのか?」
といわれ「大当たりする可能性があります」なんて言ってら却下ですね。

理由:実質の開発責任者(プロダクトオーナー)に権限がない

アジャイルとりわけスクラム開発といわれる開発スタイルではプロダクトオーナーという役割の人を置きます。
この人は、システムの方針、予算など全権限を持っています。
そして、プロジェクトから相談があったら即時に方針を打ち出します。
アジャイルは短い周期で活動するので、「1週間後の経営会議にかけてから方針を決める」なんて悠長な事言ってられません。
プロジェクト傍らには高権限を持って判断できる人が必要なのです。

しかし、日本のシステム開発において予算権限を持っているのは社長や役員クラスです。
このような階級の人がプロジェクトの傍らにいることはありません。
せいぜい、部分的な権限しか持っていない部長クラスです。
ひどい場合、係長(リーダー)クラスかもしれません。

日本のシステム開発スタイルとして面白い記事を紹介します。
「メテオフォール型開発」といい、日本のシステム開発を的確に表現しています。
面白いので読んでみてください。

まとめ

日本のシステム開発においてはアジャイル型開発を無理に採用する必要はないと考えます。
ウォーターフォール開発を短い周期で繰り返すという考え方でよいでしょう。
ただ、生産性を求めるなら従来のウォーターフォールモデルに軍配があります。
リリース回数が増える分、効率が悪くなりますからね。

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